偶然防衛防衛の意思必要説

偶然防衛(こうぜんぼんえい)とは、自己防衛のために行為を行ったとき、その行為が、実際には不法行為を防ぐことになった場合について、法律上の正當性を認めることです。たとえば、AがBに暴力を振るってきたとき、CがAに対して暴力を振るって防衛したが、その結果、BがAによって傷つけられていたところをCの防衛行為で亡くなった場合です。このような場合、Cは自己防衛のために行為したので、正當防衛として扱われるかもしれませんが、実際には、Bの命を奪ったことになってしまったので、法律上の正當性を認めるかどうかが問題になります。

偶然防衛の「意思必要説」とは、偶然防衛の場合でも、防衛者が、自己防衛のために行為したという意思があったとき、その行為を正當防衛として認めるべきであるという主張です。この説は、防衛者の意思があったかどうかを考慮することで、防衛行為の正當性を判斷することによって、法律の目的として重要な自己防衛の権利を保護することができると考えられています。

ただし、偶然防衛の場合では、意思必要説にも反対意見があります。反対意見は、防衛者が、自己防衛のために行為したという意思があったとしても、実際には、不法行為を防ぐことになった結果が生じたのであることから、防衛者の意思は関係しないと考えています。この説は、結果に基づいて判斷することで、法律の公平性を維持することができると考えられています。

結局、偶然防衛の場合では、防衛者の意思があったかどうかを考慮するか、結果に基づいて判斷するかによって、法律上の正當性が異なって判斷されることになります。この問題は、法的理論と実務上の判斷において、議論の的となっています。